イギリスでは3月の後半に外出禁止令が出てまる2ヵ月になります。一時期に比べると落ち着いてきたものの、いまやイギリスは死者数が3万6000人を超え、欧州最大です。
ここ1ヵ月ほどの間、イギリスで目立ち始めたのは政府や専門家を非難する声です。
高齢者や中年以上の人がよく見ている、民放ITVの朝のニュース番組“Good Morning Britain(GMB) ”や、その後に放送されるワイドショーは、コロナ以前は料理や芸能人のゴシップを緩々と流していたような番組ですが、最近は政府の対策を強く批判する報道が目立っています。
これらの番組が代表するように、イギリスでは現状への不満を溜めている人がかなり増えてきました。
一方で、最近よく目にするようになったのが、日本や韓国、台湾といったアジア諸国のコロナ対策を評価する報道です。3月の終わり、私は「このままでは日本もイギリスやイタリアのようになってしまう」という警告を含んだかなり厳しいコラムを書いたわけですが、日本は今や、先進国の中では死者数がトップクラスに少なく、コロナ対策では世界屈指の成功例とみなされています。
欧米では、日本はなぜ死者数が少ないのかについて 「日本の奇跡」 という風に取り上げるようになっているほどです。
喜ばしいことに、私のパニックじみた予測は大きく外れましたが、これは様々な制約がある中で、日本の皆さんが、何よりも外出を「自主的に」控え、衛生を徹底する努力をし、日本政府や日本の感染症の専門家の方々が、日本の国情や国民性にあった施策をとったということです。
言うなれば、官民共同の「オールジャパンによる努力」が実った成果だといえるでしょう。
昨年のラグビーワールドカップでは日本が大躍進しましたが、まさに「ワンフォーオール、オールフォーワン」(一人は皆のため、皆は一人のため)の精神と思います。日本人は、一丸となればこのような素晴らしいことを成し遂げられるのです。どうかみなさん、日本の人がどれだけ統制が取れているか、どれだけ地域や母国を思っているか、どんなに他人のことを考える思いやりのある人が多いかということを、今一度意識して、自信を持って下さい。これは本当に、誇りに思っていいことなのです。
冒頭にも述べたように、日本の素晴らしさをいま意識しているのは、海外の人々です。
先日、イギリスでは公共放送チャンネル4のリポーターであるCiaran Jenkinsさんが、自身のTwitterで日本とイギリスの死者の数を比較したところ、6.4万件「いいね!」され、話題になりました。
日本の人口:1億2600万人
コロナでの死者数:624人
イギリスの人口:6600万人
コロナでの死者数:3万1855人
どんな見積もりだとしても、驚くべき結果だ(※データはツイート当時のもの)🇯🇵Japan
Population: 126m
COVID19 deaths: 624🇬🇧UK
Population: 66m
COVID19 deaths: 31,855This is staggering by any estimation.
— Ciaran Jenkins (@C4Ciaran) May 10, 2020
日本の人口はイギリスの2倍近いのに、死者は1000人未満です。イギリスの死者数は「公式」には3万6000人を超えている上に、自宅死や老人ホームでの死者の数を含めていないので、その実数は6万人を超えるとも言われています。
正確な死者数を比較したら、日本の100倍近いかもしれないのです。日本は見逃されている可能性のある超過死を加えても、イギリス並にはなりませんし、死者数、感染者数とも、欧米とは桁が違います。Jenkinsさんの “by any estimation”(どんな見積もりだとしても)という言葉には、統計の手法による誤差や超過死者数を勘案したとしても驚きだ、という思いが強く現れています。
ネットで海外の声を観察していると、イギリスだけでなく他のヨーロッパの国々やアメリカ、さらにアフリカや南米でも、日本の驚異的な現状が大きな注目を集めていることがよくわかります。
「日本を褒める反応」というと、日本人には「どうせ保守派や、いわゆる『ネトウヨ』が誇張して言っているのだろう」と思う人が多いようです。
しかし、先にも挙げた通り、これは決して虚構ではなく「人々の実際の声」なのです。日本への注目が高まっている
消費者の行動が、このような動きを裏付けています。
例えば、イギリスでも外出禁止期間中に家で料理に凝る人が増えているのですが、普段はカレーやケバブが「エキゾチックな食事」であるイギリス人の間で、いま日本食の人気が異様に伸びているのです。
イギリスの中流以上御用達の高級スーパーWaitroseは、自社サイトの買い物検索で「日本食」が53%も増加した、と報じられています。
イギリス人は日本人に比べ、食に関しては本当に保守的で、海外に行ってもイギリスのものしか食べないという人もいます。人の家に招待されても「私はこれが嫌い」「これは食べない」と堂々と言う人も多いですし、新しいものに挑戦しようという風潮が乏しいので、いつも似たようなものを食べている人が少なくありません。
略
Waitroseで買い物をする人々は、世帯年収がだいたい1000万円以上程度はあり、海外旅行に頻繁に行くお金がある中年以上の層で、非常に健康意識も高いです。しかし、基本的には保守的なため、カレーや中華は食べていても寿司を食べたことがないという人もいますし、日本食に積極的に手を伸ばそうという人は、まだあまり多くはなかったと思われます。
その 「保守的な人たち」が日本食に注目しているのは、コロナの死者数が少ない日本の健康的な食生活にあやかろう、という行動の反映だと見ています。
略
著述家 谷本真由美
1975年神奈川県生まれ。シラキュース大学大学院にて国際関係論および情報管理学修士を取得。
ITベンチャー、コンサルティングファーム、国連専門機関、外資系金融会社を経て現在はロンドン在住。
著書に『キャリアポルノは人生の無駄だ』(朝日新聞出版)、『日本人の働き方の9割がヤバい件について』(PHP研究所)など多数。
それでも批判するポイントをずらしながらダメ出ししかできない人に比べて
率直に自分の予想が外れて日本を評価してる点は好感が持てる
日本でコロナが大流行しなかった理由は次の4つ
1. マスク、手洗いが習慣化されていた
2. ハグ、キス、握手などの習慣がない
3. 家に入る時は靴を脱ぐ
4. 毎日風呂に入る、風呂は夜に入る人が多い
失敗したことにしたいんだろう。